1. 炭素繊維の基本特性
カーボンファイバーは炭素含有率90%以上の高強度・高弾性繊維をもつ新しいタイプの繊維素材です。
- 炭素繊維は、高強度、低密度、耐高温性、耐食性など多くの優れた特性を持っており、航空宇宙、自動車製造、スポーツ用品などの多くの分野で広く使用されています。軽量かつ高強度なため、航空機の軽量化や燃費の向上に貢献します。高級自転車やゴルフクラブなどのスポーツ用品では、カーボンファイバーを使用するとパフォーマンスが向上します。
2. 炭素繊維の構造特性と融点
- 炭素繊維の構造は、主に黒鉛微結晶の形をした炭素元素で構成されています。この構造により、カーボンファイバーは非常に安定します。化学結合の観点から見ると、炭素繊維中の炭素-炭素結合(CC結合)は非常に強力です。
- 炭素繊維の融点は非常に高いです。常圧下では炭素繊維はほとんど溶けません。これは、内部の強い炭素-炭素結合構造を破壊するには非常に高いエネルギーが必要となるためです。一般に、炭素繊維は温度が一定レベルまで上昇すると、通常の金属や一部の低融点材料のように溶融するのではなく、酸素の存在下で酸化反応を起こします。例えば、航空機エンジン周囲の高温環境においても、炭素繊維は溶けることなく構造の安定性を維持し、補強材としての役割を果たします。
3. 高温における炭素繊維の性能
- 高温環境では、炭素繊維はいくつかの特殊な特性を示します。前述の溶けにくさに加えて、一定の強度を保つことも可能です。これにより、高温の産業環境や航空宇宙の高温部品の近くでの使用が可能になります。しかし、温度が上昇し続けると、炭素繊維の強度は徐々に低下します。
- 温度が一定レベル(通常は2000-3000度程度、具体的な値は炭素繊維の種類や製造プロセスによって異なります)まで上昇すると、炭素繊維は、温度が上昇するなどの構造変化を起こします。黒鉛化の程度は異なりますが、それでも溶けません。高温におけるこの特別な性能により、炭素繊維は高温耐性材料を必要とする分野においてかけがえのないものとなっています。